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0714 AIサーバーが超高出力時代に 台達Delta、総合的な電源と冷却ソリューションを投入

  • Guest
  • 7月17日
  • 読了時間: 8分

感謝以下続。。AI 伺服器進入超高功率時代!台達全方位電源及散熱解決方案出擊 | TechNews 科技新報 AI時代の到来により、その影響力は私たちの日常生活から宇宙空間に至るまで広がっている。NVIDIAのCEOである黄仁勳氏は、GTC 2025において、AIの発展はすでに初期段階の「感知型AI(Perception AI)」から、現在主流となっている「生成型AI(Generative AI)」へと進化し、今後は「エージェント型AI(Agentic AI)」の時代に突入すると指摘した。さらに、その先には「物理AI(Physical AI)」によって駆動されるロボティクスの世界が本格的に到来し、汎用人工知能(AGI)への本格的な進展が予見されている。


これらのAI応用を支えるべく、AIサーバーを中心としたAIインフラのスペックも急速に高度化しており、それに伴い電力需要が急増している。結果として、世界中のデータセンターにおける電力消費量は過去最高を更新し続けている。そのため、より高効率な電源モジュールおよび冷却ソリューションの導入は、ESG経営を推進するクラウド・データセンター事業者にとって喫緊の課題となっている。


600kWラック時代の到来──電源・冷却ニーズが急速に高まる背景


AI技術の継続的なブレークスルーの鍵は、強大な演算能力にあり、その演算能力向上の中心にはGPUの革新が存在する。しかし、その代償として消費電力の急増が避けられないことは明白である。今年のGTCでNVIDIAが発表した最新のデータセンター向けGPUロードマップからも、それは如実に示されている。


2024年下半期に登場予定の「GB300(Blackwell Ultra NVL72)」は、前世代のHopperと比較して性能が10倍に向上し、チップ単体での消費電力はGB200比で15~20%増加、最大1,400Wに達する。これにより、1ラックあたりの電力は120kWに達すると予想されている。さらに2026年および2027年下半期には、それぞれ「Vera Rubin NVL144」および「Rubin Ultra NVL576」が投入予定であり、前者はGB300の3.3倍、後者は14倍の性能を誇る。これに伴い、1ラックあたり600kWもの電力供給が必要となり、AI計算能力の強化と同時に、いかにエネルギー効率を保つかが重要なテーマとなっている


電力使用量の急増と持続可能な運用に向けた電源・冷却戦略


電源および冷却技術を提供する台達電子(Delta)も、AI技術の進化に伴う電力需要の課題に注視している。市場データによれば、2023年における米国大手クラウド4社の総電力消費量は約200TWh(テラワット時)に達し、2030年には700TWhを超えると予測されている。これは年平均成長率(CAGR)にして約23%に相当する。


台達電子の電源およびシステム事業部副総経理である鄭謝雄氏は、計算処理に関わらない消費電力、すなわち冷却や電圧変換といったプロセスでのエネルギー削減の重要性を強調している。同社は、長年にわたる研究開発投資、特許技術の蓄積、市場開拓、現場対応経験を活かし、AIサーバー顧客およびデータセンター運営者に対して、「電源網からチップまで(From Grid to Chip)」をカバーする包括的なソリューションを提供している。 台達電子の「三高」電源ソリューション──AIデータセンターの電力・冷却を統合管理


台達電子の鄭謝雄副総経理によれば、同社が提供する電源・冷却統合ソリューションは、UPS(無停電電源装置)、ラックマウント型電源(Power Shelf)、バッテリーバックアップモジュール(BBU)、高出力コンデンサーモジュール(PCS)、さらには基板上のDC-DCコンバーターやパワーチョーク(Power Choke)といった幅広い電源供給・管理機能を包含している


冷却に関しても、台達は最先端の空冷対応技術である3Dベイパーチャンバー(Vapor Chamber)、液冷に対応するコールドプレート(Cold Plate)、マニホールド(Manifold)、ラック内液体冷却分配装置(In-Rack CDU)、空冷補助型液冷(AALC:Air Assisted Liquid Cooling)、さらには最新の液-液型水冷(Liquid-to-Liquid Cooling)など、多様な熱管理ソリューションを提供している。


これらの技術を組み合わせることで、電力網からチップに至るまでのエネルギー損失を大幅に削減することが可能であり、台達はグローバルにおいて唯一、「グリッドからチップまで(From Grid to Chip)」の完全な電源ソリューションを一貫して提供可能な企業である点が、他の競合との差別化要因となっている。


このソリューションの完成は一朝一夕で成し遂げられたものではなく、電源・冷却に対する高品質設計の追求と、長期にわたるデータセンター分野での継続的な観察と戦略的投資の成果である。特に電源分野において、鄭氏は、台達が「高効率」「高密度」「高出力」という“3高”方針を軸に研究開発を推進しており、AIデータセンターにも同様の設計思想が貫かれていることを強調している。この方針こそが、AI機器に対する安定した電力供給と、電力損失の最小化を両立させる鍵である。


このような実績から、台達は2023年のNVIDIA GTCにおいて唯一招待された電源および冷却ソリューション企業となり、2024年にはNVIDIAとの共同設計によるAIデータセンター向け次世代ソリューションを数多く展示した。中でも注目を集めたのが、ITラック向けに共同開発された新たな高電圧直流(HVDC)給電ソリューションである。 800V HVDCソリューションの登場──AI時代に適応した新電源構造


この新しい高電圧直流(800V HVDC)電源ソリューションは、AIサーバーにおけるラック単位の電力増加によって発生する電流急上昇や、ITラックの設置スペース不足といった課題に対応するために開発された。鄭氏は、AIサーバーの電力需要が高まる中、既存ラックでは大型電源を収容できず、熱の排出にも限界があることから、電源モジュールとITラックを分離する新しいアーキテクチャの構築が必要であり、「電源ラック(Side Power Rack)」という新たな概念が生まれてきていると述べている。


今後の潮流としては、電源ラック内の電源供給を従来の単相から三相へと切り替え、ITラック側へ800Vの高電圧直流電力を供給するという構成が主流になる見込みである。三相電源の採用は、電力の高効率・高密度化を可能にし、三相バランスによる安定供給を実現すると同時に、零線を不要とすることで入力ケーブルのサイズ縮小にも貢献する。


本構成では、電源ラック内に設置されたAC-DCコンバーターにより800VDCへ変換された電力がITラックへ送電され、DC-DCラック電源によって800VDCが48VDCへ降圧され、IT機器の電圧仕様に適合させる。これにより、ITラック内の空間に余裕が生まれ、GPUなどの演算装置の追加設置が可能となり、1ラックあたりの処理能力および電力効率がさらに向上する。


超高速負荷変動への対応──電力安定性の要となる蓄電モジュール


AIサーバーがトレーニングや推論を行う際、GPUの負荷が急激に変動することにより、電力網に大きな衝撃を与え、供給不安や瞬断のリスクが高まる。これを防ぐため、台達は超高速充放電が可能な「ラックマウント型高出力コンデンサーモジュール(機架式高功率電容模組)」を開発した。本モジュールに搭載されたスーパーキャパシタにより、急激な負荷変動を吸収し、電力網への影響を最小限に抑制することが可能である。さらに、突発的な停電時には20kWで最大15秒間の電力供給が可能であり、データロスの防止にも寄与する。 台達、垂直供電とL2L冷却装置によりAIサーバーの電力・熱課題を包括的に解決


電力が多段階の変換を経て最終的にチップに供給される「最後の一哩路(ラストワンマイル)」において、台達電子は「垂直供電(背面供電)」技術によりエネルギー損失の最小化を図っている。従来のチップ電源供給は、同一マザーボード上の電圧調整モジュール(Voltage Regulator Module、VRM)を介して行われており、電流は水平方向に流れる構造となっていた。この構造では、VRMからチップへの電源供給経路をさらに短縮することが困難である。これに対し、垂直供電技術では電源供給経路を大幅に短縮することが可能であり、台達はチップ背面に直接設置可能なDC-DC電源モジュールを独自に設計し、不要な電力損失を回避するとともに、電源供給の全体効率を向上させている。


冷却管理の分野においても、台達は複数の新製品と革新的設計を発表している。中でも注目されるのは、最大1.5メガワットの冷却能力を誇る新型液-液冷却液分配装置(L2L CDU)である。同装置は、NVIDIAより正式に推薦および認定されたサプライヤー製品として認証を取得しており、複数の高電力密度ラックの冷却処理を同時に行える性能を備えていることを示している。


AI技術の急速な進展により、AIサーバーおよびデータセンターは高電力・高出力時代に突入しつつあり、これにより台達が長年にわたり培ってきた電源および冷却技術の有効性が改めて評価されている。鄭謝雄副総経理は、台達が現在、あらゆるAI活用領域に向けて総合的なソリューションを提供しているだけでなく、自社製品の設計やスマートファクトリー運営にもAIを積極的に活用していることを強調している。さらに、AI機能を台達製品に組み込むことで、各種エッジ製品のスマート化を推進している。


高出力電源および高効率冷却を必要とする顧客にとって、台達は包括的かつ完結型のソリューションを提供可能であり、異なるブランド間の製品互換性に関する課題を解決するとともに、製品同士の組み合わせや協調動作に関する検証作業の時間とコストを削減することができる。これにより、製品導入および展開のスピードを加速させると同時に、クラウド事業者および企業パートナーがAI技術を推進する際の不要なエネルギー損失を最小限に抑え、持続可能なグリーンAIエコシステムの構築に貢献する。



 



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