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0725 MicroLEDディスプレイの量産を阻む歩留まりの壁とQ-PixelのQ-Transfer技術

  • Guest
  • 8月10日
  • 読了時間: 2分

過去10年ほど、ディスプレイ業界は革命的なブレークスルーの直前にあると言われ続けてきたが、その実現は未だ果たされていない。現在、市場でよく知られているマイクロLED搭載ディスプレイは、サムスン110インチTV「MS1A」のみであり、その価格は15万ドル(約2,300万円)と非常に高額で、富裕層かつホームエンターテインメントに強い関心を持つ層であっても購入は限られる。


マイクロLEDディスプレイの普及を妨げる最大の要因として、多くの関係者が指摘するのは、エピウエハー上で形成された膨大な数のマイクロLEDをバックプレーンに移す「転写技術」である。極小ディスプレイの場合、GaN-on-Siエピウエハー上のマイクロLEDアレイをCMOSバックプレーンに直接接合する方法も可能だが、腕時計、スマートフォン、テレビ、大型屋外ディスプレイの製造には転写工程が不可欠となる。


従来の転写手法(エラストマー製スタンプで多数のマイクロLEDを一括ピックアップして配置する並列転写方式など)が抱える最大の課題は、歩留まりの不足である。一見、従来法の歩留まりは非常に高く見えるが、Q-Pixel社CEOのJ.C. Chen氏によれば、現実的には量産に耐えうる水準ではないという。


Chen氏によると、業界でよく引用される転写技術の歩留まりは99.99%(フォーナイン)だが、超高精細TVの製造には2,400万個ものマイクロLEDチップ転写が必要になる。この場合、フォーナインの歩留まりでは100万個あたり約100個の「不点灯ピクセル(デッドピクセル)」が発生し、合計すると相当数の欠陥画素となる。100個の欠陥画素は修復が極めて困難であり、比較対象となるOLEDやLCDが非常に低い欠陥率を誇る中では競争力を失う。


Chen氏は「もし5ナイン(99.999%)や6ナイン(99.9999%)であれば、不点灯は1画素程度に減らせる」と説明する。欠陥画素を高輝度・低消費電力といったマイクロLEDの長所で補うことはできず、歩留まりの向上が量産化の前提条件となる。


Q-Pixelが開発した「Q-Transfer」技術は、この歩留まり問題を克服し、99.9995%以上(5ナイン5)という極めて高い転写歩留まりを実現するとされる。同社はQ-Transferを用い、画素ピッチ10µm、500ppi超の高密度カラーディスプレイの試作に成功しており、その結果は欠落画素ゼロという驚異的な品質を示した。


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