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0924 産業オートメーションからAIサーバー冷却設備まで─台達Delta標準電源のグローバル展開と省エネ戦略

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  • 9月27日
  • 読了時間: 4分

台達電子Deltaは電源分野におけるリーディングカンパニーとして、先進技術を活用し電源製品のエネルギー変換効率を継続的に向上させている。これにより、顧客に対して数十億キロワット時もの電力削減を実現し、同社の企業使命である「環境保護・省エネ・地球愛護」を具体的に体現している。台達は顧客ニーズに応じたカスタマイズサービスを提供しているが、一部業界の顧客は分散しているため、標準製品の開発を通じて、多くの顧客の要望に応える標準規格を市場に展開している。


標準電源の事業展開 ― 工業・医療・照明の3大分野


台達標準電源事業部の陳威廷総経理によれば、同社の標準電源は応用分野に応じて「工業」「医療」「照明」の3つに大別される。工業用電源では、DINレール型、フラット型、ベースプレート型、アダプタ型など多様なラインアップを展開し、設置方法や用途に応じて柔軟に対応している。例えばDINレール型はカチッと嵌め込む構造で、制御盤における自動化設備の設置要求に合わせた設計である。さらに、数十ワットの小出力から数キロワットの大出力まで幅広く対応し、近年は産業自動化の進展に伴い、通信機能を搭載した製品も展開しており、電源異常を即時に警告し設備の安定稼働を支援している。


医療機器やLED照明の分野においても、CTスキャナ、超音波装置、街路灯、スタジアムの大型照明塔などで台達の標準電源が広く活用されている。陳総経理は、市場ニーズの進化に応じて、標準電源はこれら3大分野を基盤としつつ、さらに多様な応用分野へ拡大していると述べている。


標準電源が拓く新たな応用可能性


標準工業電源は従来の工業用途にとどまらず、新興分野においても重要な役割を果たしている。例えば、充電スタンドやエネルギー貯蔵システムの制御装置、ビルオートメーションなどで活用されている。また、近年注目されるAIサーバーや冷却設備にも導入されており、同社の高性能工業用標準電源「Force-GT」シリーズは冷却分配ユニット(CDU)制御盤に採用され、安定した電力供給と高信頼性を実現している。


標準電源はその応用範囲の広さから、産業オートメーション、ビルオートメーション、LED照明、家電、再生可能エネルギー、さらには半導体産業においても欠かせない存在となっている。そのため陳総経理は、標準電源の市場成長余地は極めて大きいと指摘する。市場の主流となる規格をいち早く定義することが競争優位の鍵であり、産業の進化や市場動向を踏まえながら、多くの顧客ニーズを満たす標準製品を開発し、標準自体を絶えず更新していくことが重要であるとしている。


現在は業界が遵循する標準であっても、将来必ずしもそうであるとは限らない。逆に言えば、現時点で普及していない規格であっても、産業の進化により将来的に新たな標準となる可能性がある。標準電源の発展に関して、陳威廷総経理は、競合に先んじて次世代の標準規格を市場に投入することが重要であり、そのためには市場動向および産業トレンドを継続的に注視することに加え、台達の三大コア優位性である「研究開発・生産・品質」が決定的な鍵になると強調した。


国際環境への対応 ― 多角化生産体制による競争力維持


陳総経理は、台達が研究開発を極めて重視しており、毎年売上高の約8〜9%を研究開発費に投じているため、技術面で業界をリードし続けていると説明した。生産面においては多角化体制を採用し、中国、タイ、インド、スロバキアなど世界各地に拠点を設置することで、国際情勢が不安定な状況下でも柔軟な生産体制を維持できる。


例えば、米国が各国からの輸入製品に対し相互関税を課す最近の事例においても、台達は税率の低い国から輸出する形に調整することで、米国市場への展開を継続的に深めることが可能であり、競合と比較して事業リスクを大幅に低減している。


さらに品質面においては、資材選定から品質管理に至るまで最高水準の基準を徹底しており、製品自体が高い安定性と品質を備えている。陳総経理は、これら三大優位性を通じて、台達は高品質・高安定・高効率な標準電源を持続的に供給でき、競合を凌駕し市場から高い評価を得ていると強調した。


内需と外需を結ぶシナジー


また、台達内部には「電源・コンポーネント」「交通」「自動化」「インフラストラクチャー」という四大事業分野が存在し、いずれの分野においても電源製品が不可欠である。換言すれば、台達自身が標準電源の主要顧客でもあり、内部需要を通じて市場ニーズを先行的かつ深く理解できる体制を有している。


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