0925 マイクロソフト「冷却革命」 台湾冷却サプライチェーンに衝撃 チップ構造に直接アプローチし既存部材を不要に
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- 9月25日
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Microsoftは新たな「冷却革命」を発動し、「マイクロ流体(microfluidics)」技術の開発を発表した。本技術は、水冷液を直接チップ上にエッチングされた微細な流路へ通過させることで放熱を行うものであり、既存の冷却方式を凌駕する効果を持つ。これにより、より高性能なチップの開発が可能となるほか、従来必要とされた冷却部材を不要とするため、健策、奇鋐AVC、雙鴻Aurasなど台湾の冷却関連メーカーの今後の市場に影響を与える可能性がある。
同社のマイクロ流体技術は、現行のAIサーバー冷却技術を根本から覆す潜在力を持つ。チップ構造そのものに直接介入することで、均熱板や水冷板といった部品を不要とし、既存の冷却メーカーが事業機会を失う恐れがあり、業界に衝撃を与えている。この報道を受け、データセンター冷却システムを手掛けるVertivの株価は火曜日に終値で6.2%急落し、Eatonは2.6%、Modine Manufacturingは3.4%それぞれ下落した。
台湾においても、健策(3653)、奇鋐、雙鴻といった冷却大手の株価が24日に揃って下落した。中でも健策は105元安の2,250元で取引を終え、4.46%の下落率で最も大きな下げ幅となった。奇鋐は1,000元を割り込み、994元で終値を付け、雙鴻も900元を下回り879元で取引を終えた。
業界分析によれば、AIの演算能力は急速に向上しており、その消費電力も同時に増加している。NVIDIAの新プラットフォームRubinおよび次世代のFeynmanでは消費電力が2,000Wを超える可能性があり、巨大な冷却課題を伴う。このためNVIDIAは2023年以降、ほぼ毎年のように「冷却革命」を発表し、従来の空冷から水冷、さらに最新の「微小流路水冷板(MLCP)」技術へと進化させてきた。これはすべて、AIサーバーの深刻化する発熱問題を解決するための試みである。
これまでのNVIDIAによる「冷却革命」は、台湾冷却メーカーにとって新たな商機をもたらしてきた。しかしながら、マイクロソフトは既存の延長線上ではなく新たな技術ルートを模索しており、その姿勢は現行の産業構造を根本から揺るがす可能性を示している。
マイクロソフトのシステム技術責任者であるフサム・アリッサ(Husam Alissa)氏は、同社が社内の試作システムにおいて「マイクロ流体」のテストを行っていると述べた。対象はOfficeクラウドアプリケーションを支えるサーバーチップや、AI演算を担うGPUである。


