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1120 AIサーバー時代のPCB“三高化”とRubin世代がもたらす構造転換

  • Guest
  • 11月21日
  • 読了時間: 2分

TrendForceの最新レポートによると、AIサーバー向けPCBは 高周波・高電力・高密度 の「三高時代」に入った。PCBは従来の“配線の受け皿”から、AI計算性能を左右する中核部材へと役割が大きく変わりつつある。


NVIDIAの Rubin世代サーバー は、その象徴と言える。最大の特徴は Cableless(無線纜化)互連 で、これまでGPUとSwitch間の高速伝送に使われていたケーブルを、Switch Tray・Midplane・CX9/CPX といった多層PCBに全面置き換えた。これによって、Signal Integrity(SI)と伝送の安定性 が設計の最重要ポイントになっている。


Rubinでは損失と遅延を最小化するため、使用材料も大幅に高度化している。


Switch Tray:M8U(Low-Dk2 + HVLP4)、24層HDI


Midplane/CX9/CPX:M9(Q-glass + HVLP4)、最大104層構造


この結果、1台のサーバーに使われるPCBコストは前世代の 2倍以上 に跳ね上がった。設計の重点も「基板配線」から「システム全体の互連と放熱の最適化」へ移っている。Google TPU V7 や AWS Trainium3 など大手クラウドの自社ASICサーバーでも、同じ方向性の設計が採用され始めている。


材料分野でも変化が加速している。

ガラス布では、日本の Nittobo が不足している T-glass の生産を強化するため 150億円を投じ増産。2026年に量産開始し、現在の3倍の能力に拡大予定。T-glassはABF/BT基板に使われ、価格はE-glassより数倍と付加価値が高い。


銅箔では、高速伝送で顕著になる Skin Effect への対応として HVLP4(低粗度銅箔) が標準化。ただし、等級が上がるほど生産難度が高く、供給は慢性的に不足しやすい。これにより、価格交渉力は下流メーカーから、材料サプライヤー側へ戻りつつある。


TrendForceは 2026年が技術力でPCB価値が再評価されるターニングポイント になると指摘。台湾勢が上流材料と高層HDIを押さえれば、AIサーバー時代の中心プレイヤーになれると分析している。


【AI推定】


Rubin世代で確立した「無線纜化+高層HDI+低Dk材料」という組み合わせは、次世代AIサーバー設計のデファクト標準になると考えられる。特にT-glassやHVLP4銅箔の需要は急増しており、供給不足がAIサーバーの成長ペースを左右する可能性がある。台湾メーカーが基板製造だけでなく、材料分野まで踏み込めれば、付加価値の高い“AIインフラの重要供給者”として地位を強化できる。2026年以降は、材料主導の競争が本格化すると予測される。


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