1128 ダイキン工業、Chilldyneを買収しAIデータセンター冷却技術を強化
- Guest
- 11月29日
- 読了時間: 2分
ダイキン工業は2025年11月4日、米国子会社Daikin Applied Americas(DAA)が、AIデータセンター向け負圧式液体冷却技術で実績を持つChilldyneを買収したと発表した。これによりDAAは、データセンター向けの冷却ソリューションをさらに拡充し、高効率かつ持続可能な冷却技術を提供できる体制を強める。ダイキンは同年8月にも、ラック単位の個別冷却に強みを持つDDC Solutions(DDCS)を買収しており、AI・高密度サーバ向け冷却領域での強化を一段と進めている。
Chilldyneの負圧式ダイレクトチップ液体冷却(DLC)は、漏れリスクを低減しながらGPUなどの高発熱部品を直接冷却できるのが特徴で、従来の陽圧式よりも安全性と運用コスト面で優れている。AI/Hyperscaleデータセンターの高発熱要求に対応する方式として注目されている。
また、同社の特許技術である冷却水分配装置(CDU)は、コールドプレートを介してチップから熱を効率的に除去し、GPUサーバの安定稼働や消費電力削減に寄与する。
さらにDAAは、DDCSのモジュラー高密度冷却キャビネットとChilldyneの液冷技術を統合。これにより、ラックレベルからチップレベルまでをカバーする統合型のデータセンター冷却エコシステムを構築し、高効率・高信頼の冷却ソリューションを提供できる体制を整えている。
推定|液冷シフトの加速とダイキンのポジション強化
ダイキンによる連続買収は、AIサーバの電力・発熱密度が急上昇(30 kW/rack → 100 kW超)する中、同社が空冷中心から液冷中心へ本格的に体制を移行している動きと考えられる。特に負圧式DLCは、NVIDIA Rubin世代や次期サーバで液冷が標準化する流れと一致しており、CDU・キャビネット・コールドプレートを組み合わせたフルスタック型の液冷ソリューションを構築することで、ダイキンはHyperscaleデータセンター向けの主要液冷サプライヤーとして存在感を高める可能性が高い。また、米国市場での強化を起点に、アジア各国のデータセンター市場でも競争力を拡大していくとみられる。

