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1129 台灣におけるシリコンフォトニクス技術の現状と課題

  • Guest
  • 11月29日
  • 読了時間: 2分

AI需要の拡大に伴い、データセンターでは銅線から矽光子(Silicon Photonics)への移行が注目されている。しかし現時点では、矽光子が使われているのは長距離伝送のみで、中・短距離は依然として銅線が主力である。これは、最新の銅線技術が100〜200 Gbit/sまで高速化し、矽光子と同等レベルに近づいたためである。


矽光子の要となるのが「光引擎(Optical Engine)」であり、台湾でこの製造能力を持つのは現状では台積電のみ。工研院は、複数企業が光引擎を開発できるよう支援し、台湾全体で矽光子技術を底上げする「国家隊」形成を進めている。


矽光子には、電気信号を光に変換し再び電気に戻す工程が必要で、調整作業の複雑さやアライメント精度などの課題がある。特に、複数芯の光纖束(fiber ribbon)を光引擎に正確に挿入する作業は量産面で難易度が高く、コスト高の要因になっている。


一方、技術進化は進んでおり、従来の「PCBを経由して光信号を引き込む方式」から、光纖をチップのすぐ横まで直接引き込む方式へと変わりつつある。将来的には、**光引擎と交換器晶片(スイッチチップ)を同一基板に統合する“CPO(Co-Packaged Optics)”**が本格化すると見られている。


この構成では、


  • 光引擎16個

  • 各光引擎に16芯の光纖束

  • 各芯100 Gbit/s

→ 1光引擎=1.6T、全体で25.6T/s

という非常に高い帯域が実現可能となる。


また、Micro LED を応用した基板間光通信も研究が進んでおり、すでに海外大手が台湾企業へ開発を委託するケースも出ている。

台湾では、台積電の光引擎製造能力を軸にしながら、海外から光引擎を調達する企業もあり、国内外を組み合わせた供給網が形成されつつある。


AI推定|将来展望と台湾産業へのインパクト


矽光子の量産コストは、自動化や標準化の進展により中期的に大きく下がると見込まれる。AIサーバやスイッチの帯域は400G → 800G → 1.6Tと急速に増えており、銅線は発熱・消費電力・距離の面で限界に近づきつつある。

このため、中期的にはCPOを軸とした矽光子への移行が加速し、台湾は台積電を中心とした光引擎供給能力を武器に、光通訊サプライチェーン全体で国際競争力を高める可能性が高い。


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