1204 Marvell、2026年度のデータセンター売上は25%超の成長見通し。ASIC需要拡大で台湾企業にも恩恵
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- 12月9日
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米国のASIC大手Marvellは12月2日、2026会計年度(2026年2月〜2027年1月)のデータセンター関連売上が25%以上増加する見込みを示し、さらにその後は成長が「大きく加速する」と発表した。この発表を受け、3日の米国市場でMarvell株は9%以上上昇した。
市場関係者は、この強気見通しが客製化AIチップ(ASIC)需要の強さを反映していると指摘する。製造を担うTSMC(2330)が最も大きな恩恵を受けるほか、台湾の聯發科、創意、世芯-KYなどのASIC関連企業にもプラス材料になるとみられている。
現在、クラウドサービスプロバイダー(CSP)が進めるデータセンター投資は急速に拡大している。NVIDIAのGPUは依然として主流であるものの、特定用途に最適化したASICの市場規模も拡大基調にあり、IC設計企業にとって重要な成長領域となっている。
Marvellは最近、「新興の超大規模ハイパースケーラー」を新規顧客として獲得したと明かし、2026年度のデータセンター売上が100億ドル規模に達する見通しを示した。また、客製化IC部門の売上も20%増を見込んでいる。
CEOのMurphy氏は「顧客は今後数年でAI計算能力を大きく増強する計画で、当社と長期ロードマップを共同策定している」と述べ、データセンター事業は今後「大幅に加速する」可能性があると強調した。
同社は過去25年間に2,000件以上のASIC案件を提供しており、先端プロセス向けに計算、埋め込みメモリ、高速SerDes、ネットワーク、セキュリティ、ストレージなど幅広いIPを蓄積している。次世代ASICでも技術リードを維持する方針である。
直近の四半期決算では、売上20.75億ドル(前年比37%増)と過去最高を更新。調整後EPSは0.76ドルで市場予想を上回った。データセンター売上は**15.18億ドル(38%増)**と全体の7割超を占め、業績を大きく押し上げた。
今期の会社予想は、EPS 0.79ドル、売上 22億ドル±5% といずれも市場予想を上回り、来期のデータセンター売上はさらに上方修正される可能性が高いとしている。
【AI推定】
Marvellの強気予測は、ハイパースケーラーがGPU一辺倒からASICとの併用へと投資を広げている流れを示すものと考えられる。特に、消費電力効率の高さやカスタマイズ性を重視するAIデータセンターでは、ASIC導入が一段と加速している可能性が高い。これにより、TSMCの先端プロセス需要はさらに増加し、世芯-KYや創意など台湾のASIC設計企業も恩恵を受けるだろう。
一方で、顧客の投資配分(GPUとASICの最適構成)は今後の競争環境を左右する要素となり、各社の技術戦略が重要性を増すと考えられる。

