1209 白銀価格急騰が電子材料・受動部品サプライチェーンに与える影響
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- 3 日前
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2025年初め以降、白銀価格は約2倍に上昇し、銅(約3割上昇)や金(約6割上昇)を大幅に上回る伸びを示している。この動きから、市場では白銀が「新たな黄金」とみなされつつある。2026年も、リスク回避需要の高まりと地域的な供給不足を背景に、強い上昇が続くと予測されている。
電子材料メーカーの勤凱ampleは、直近3カ月で銀価格が3割以上上昇したことを受け、導電銀ペースト製品の価格を国際相場に合わせて段階的に調整している。受動部品メーカーとはすでに協議を開始しており、各社とも新たな価格体系を受け入れる姿勢が強まっている。同社によると、銀ペーストは電感(インダクタ)・電阻(抵抗器)などの受動部品メーカーに加え、半導体・LED封止工程のリードフレーム向けにも出荷されている。
一方、銅ペーストはMLCC向けに供給されており、勤凱は銀ペースト・銅ペーストのいずれの分野でも2025年にシェアが拡大したとしている。さらに2026年には、日本の受動部品サプライチェーンへの本格参入を計画している。
サプライチェーン関係者によれば、貴金属価格の全面的な上昇により、銀ペーストを大量に使用する受動部品メーカーや半導体封止メーカーのコスト負担が急増している。特に積層タイプのチップフェライトビーズやインダクタでは、銀ペーストが材料コストの50〜60%を占め、収益への圧迫が大きい。
電感(インダクタ)大手の臺慶科Tai-Techは、白銀価格が年初から倍増した影響を受け、11月に代理店向け価格を15%以上引き上げたほか、採算の悪い受注の整理や減産を進めている。一方で三集瑞Trio-KYは、銀ペースト使用比率が比較的低いため、白銀の急騰よりも銅価の変動の方が影響が大きいと説明している。同社は、価格政策を慎重に運用しつつ、ASPと利益構造の維持に努める方針だ。
業界では、銅価格も過去に例のない上昇局面に入りつつあるとされる。次に銅が急騰すれば、導電銅ペーストの値上げが進み、MLCCを含む受動部品メーカーで「第三波」の価格上昇が生じる可能性が高いと見られている。
<AI推定>
白銀価格の急騰は、電子材料コストの高止まりを長期化させ、特に銀ペースト依存度の高いフェライトビーズ・インダクタメーカーに深刻な収益圧迫をもたらす可能性が高い。今後の利益確保には、値上げの浸透や製品ミックスの見直しが必須になる。一方で銅価格が本格的に上昇局面へ入れば、MLCCなど幅広い受動部品分野で追加的なコスト転嫁が発生し、2026年はサプライチェーン全体で価格・コスト調整が大きなテーマになると考えられる。
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